南阿蘇便り　春

南阿蘇に春が訪れました。厳しい冬を耐え抜いた植物たちが、一斉に芽吹き始めます。草原では春の風物詩である野焼きが行われます。人が野焼きをすることで、草原は木々の浸食から守られ、そのお返しとして私たちは豊かな牧草をいただきます。南阿蘇ではずっと昔から、自然と人間が共存しながら生きてきました。

春になると私たちの農園も賑やかになります。新芽を伸ばすペパーミントやステビア。白と黄色のカモミールや、鮮やかなピンクのエキナセアなど、花をつけるハーブたちは次々と開花し、畑全体が心地よい香りに包まれます。ハーブの香りに満ちた畑での収穫作業は、仕事中なのに癒されてしまう幸せな仕事です。

ハウスの中で越冬させていたレモングラスを畑に定植させるのも、春の大切な仕事です。微生物の力を借りてフカフカにした土に、ひと株ずつ丁寧に植えていきます。定植後は畝の間に南阿蘇の天然水をたっぷりと流し込み、苗がしっかりと活着できるように促します。上質な土と水が、香り豊かなレモングラスを育んでくれます。

心も体も活動的になる春は、ハーブティーが美味しい季節です。庭先やベランダで楽しめば、いつもと違った美味しさが感じられます。出会いや別れの多いこの季節、大切な方への贈り物にもいいかもしれません。私たちのハーブティーで、穏やかな春をお楽しみ頂けたら幸いです。